巷で話題のニュースを過去の裏モノJAPANで読み解いてみようという裏モノNEWS。今回のテーマは、大学受験の裏側。それもエリート大学生が自ら行った、『替え玉受験』のリポートをお送りします。
※本日より数回にわたってお送りいたします。
バックナンバーはコチラです→ 第1回 第2回
裏モノNEWS特別連載
『偏差値40の浪人生がK大に合格!僕の替え玉受験体験記』
青山忠弘 仮名 青年実業家
第3回
写真間の照合をするほど
入試期間はヒマじゃない!?
学校側がこれほどの受験生の顔写真を求めるのは、替え玉受験を含め、本人確認を徹底して行おうと思っているからに他ならない。では、実際にこれらの写真と受験生は、いつ、どのような形で照合されているのだろうか。
まず、願書申請の際に提出する2枚の写真だが、これは直接、試験会場で試験を受ける本人の顔を見比べられる。
何度も言うように僕とマサオは違う系統の顔だから、マサオの写真を使ったのでは即バレ。かといって、どちらにも見えるよう合成した写真を提出するのもダメ。受験書類の写真規定は非常に厳しく、スピード写真や使い捨てカメラでのスナップ撮影は不許可で、写真屋で撮影した証明写真のみがパスできる。よって、合成写真など提出すればそれだけでアウトになってしまう。
では、合格後、学生原簿に貼付される写真はどう使われるか。
実はこれがあいまいで、僕の在学期間、学生原簿の写真と自分を見比べられた記憶はない。だが、単位を落としたり呼び出しをくらうなど不測の事態では原簿が出てくるわけで、デキの悪いマサオの場合は絶対、彼の写真でなければマズイ。
ということは、出願時の写真は僕の顔写真を使い、合格後の3枚はマサオの写真を提出する必要がある。これで、大学側が出願時の原簿と入学後の原簿を照合しなければ、替え玉受験は成功する。
僕は入試・入学時期の大学側の動きをチェックしてみることにした。
考えてみれば大学にとって入試は一大イベントであるとともに最大の収入源。少子化が問題になっているとはいえ、有名大学となれば願書を送付してくる受験生の数は莫大なもので、K大の場合は4〜5万人にものぼる。
この大量の志願者を受け付け、選別し、合格者を登録するのだから、その事務量たるや半端じゃない。K大学では毎年、朝日新聞で50人の事務アルバイトを募集するが、それでも入試担当になった教授が1日12時間、1週間丸々カンヅメ状態で採点するという逸話があるほどの忙しさである。
そんな最中に「もしかしたら替え玉がいるかもしれない」というだけで写真を照合する作業を行うだろうか。
手始めに過去の替え玉受験事件を調べてみた。と、いきなりの大打撃。例のなべやかんのM大替え玉受験は、学生証と受験票を照合した結果、別人の写真が使われていることが判明し、事件が発覚したとあるではないか。
いくらムダなことに見えても、大学側はそこまで徹底的にやってたんだなと一旦は納得したが、諦めきれない。それとなく大学の事務局に就職したサークルの先輩に探りを入れてみる。
すると、実際に彼が入試担当を務めた2年の間には、写真間の照合などやったことも聞いたこともないという。
「あの時期がどんな忙しいかオマエだって想像つくだろ。そんな面倒なことやるワケないじゃん。M大の場合はさ、OBや職員がからんで前々から不穏なウワサがあったから調べたんじゃないの。M大だって今は学生証と受験票の写真の照合なんてやってないと思うよ」
確かに当時の新聞を読み返してみると、替え玉受験のウワサが流れていたこと。その年の出願時の書類にスピード写真が入っていたことなどから、M大側が敏感に反応した様子が読み取れる。先輩の言うとおり、写真間照合はあの年だけの特例だった可能性が高い。
念のため、親しい助教授にも確認してみると、私立大学ってとこはコストに見合わない理不尽なコトはやらないと断言する。
「出願時の書類と合格後の書類は別々に保管されるものだし、忙しくてそんな煩雑な仕事まで手が回らないよ」
これだけ裏が取れれば間違いない。信じられないかもしれないが、少なくともK大や今のM大では写真間の照合は行われてないと考えていいようだ。
替え玉受験の報酬は
両親から100万円ずつ
「この前の話だけど」
「なんだっけ、彼女の話?」
「いや替え玉受験のこと」
「えぇっ、先生、本気!?」
素っ頓狂な声をあげるマサオに向かって入試システムを解説。
「…だから、絶対、成功するよ」
言うことの半分も理解してはいないと思うが、彼はもう合格したかのような喜びようだ。
「先生、それいいっすよ。絶対やろうよ。ママに言ってウンとお金出してもらうからさ」
ママか。僕としてはオヤジからガッポリ金をもらいたいところだが、マサオはどうやら母親にだけ打ち明けるつもりらしい。いつもバカ息子呼ばわりする父親にコンプレックスを持っているようで、内緒で合格して見返したいという彼なりの魂胆があるようだ。
次の授業日、お母さんが休憩時間になるといつもより大きなケーキと紅茶を持ってきた。
「先生、マサオからすべてお聞きしました。先生のおっしゃることならきっと間違いないでしょう。ぜひともよろしくお願いします」
親バカとはまさにこのことだろう。息子が犯罪に足を踏み入れようとしているのに、止めるどころか自ら頭を下げて依頼するのだから。ま、そっちがその気なら望むところだ。
その後の話し合いで、合格した際は父親の約束した成功報酬とは別に100万をもらうということで合意した。
過去の替え玉事件が、1千万だ2千万だと報じてあるのを見ると安い気もしたが、専業主婦が夫に内緒で出せる金額としては、このぐらいが限界だろう。
僕も金をもらいたいのは山々だが、自分が計画したことを実行してスリルを味わってみたいという気持ちが大きいので、それでよしとした。額が小さいことで違法行為を行うコトへの罪悪感が減るという心理が働いていたのかもしれない。
第4回へ続く(3/18 公開予定)
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